10. 〈東アジアの記憶の場〉を通して考える東アジア問題

東アジア問題の根幹は、帝国日本の植民地主義と帝国支配、その歴史的処理と記憶のされ方に起因する問題が今でも残っていることです。過去の出来事への認識が植民地や戦争を体験していない世代のなかで現在の問題として現れてきています。

本講座は、東アジア問題について、〈東アジアの記憶の場〉という概念を参照して、植民地朝鮮と「満洲国」を体験した「在満少国民」日本人植民者二世及び中国残留孤児(戦前や戦中に日本から「満洲」(現中国東北地域)へ渡り、終戦の混乱で現地に取り残された中国残留孤児)、そして戦後補償裁判(アジア太平洋戦争韓国人犠牲者補償請求裁判)を通して考えていきたい。

日程2024年5月14日(火)開講 全3回 隔月火曜18:45 ~ 20:45
会場オンライン開催(zoom)
受講料通し 一般3,000 円 会員2,400 円 25 歳以下1,200 円
(単発 一般・会員1,000 円/ 回 25 歳以下500 円/ 回)

コーディネーター:朴 仁哲(ぼく じんてつ)
中国黒竜江省生まれ、1997年来日。1999 年から通訳・翻訳者として日中韓に関わって、草の根の交流を行っています。北海道大学教育学博士。多文化共生・国際交流研究事務所所長、特定非営利活動法人社会理論・動態研究所研究員。専門は外国語教育、東アジア地域研究、人の移動と移民研究、多文化共生・国際交流研究など。
HP:https://sapporobc.wixsite.com/officeyou

2024年5月14日(火)第1回
東アジアの記憶の場としての在満少国民:元女性教師のライフヒストリー(生活史)を手がかりに

●北島順子(きたじまじゅんこ)大手前短期大学教授
第1回では、植民地朝鮮と「満洲国」を体験した稀有な在満少国民、𠮷岡数子のライフヒストリー(生活史)を手がかりに、植民地支配の実相の一端を東アジアの記憶の場として伝えていきたい。後半に𠮷岡数子の体験談を含む予定。

※𠮷岡数子:植民地官僚であった父の出向に伴い植民地朝鮮で生まれ、その後「満洲」に移住し、「満洲」教育を体験。敗戦後、日本に帰国(移住)し、小学校教員として総合学習の実践・平和人権学習の教材化・教科書研究に取り組みました。現在、私設教科書総合研究所共同主宰(𠮷岡・北島)。

7月9日(火)第2回
東アジアの記憶の場としての戦後補償裁判

●金 誠(きんまこと)札幌大学教授
帝国日本によって引き起こされたアジア太平洋戦争は植民地であった朝鮮半島の人々をも戦争へと動員することになりました。軍人・軍属、軍隊慰安婦、挺身隊、徴用工、工場労働者として。しかし戦後の日本においてそれら戦時動員を受けた朝鮮人への賠償・補償はないがしろにされ、時を経てそれらを巡る戦時補償裁判が始まります。今回は韓国人犠牲者、遺族らの起こした二つの戦後補償裁判に着目し、日本の市民運動家たちがそれらの裁判にどのように関わったのか、互いをコミュニケートして形成された「記憶の場」に焦点を当ててお話をしていきます。

9月10日(火)第3回
東アジアの記憶の場としての残留孤児:中国残留孤児帰国定着に対する日本政府の施策への検討

●崔学森(さいがくしん)中国大連外国語大学教授
何千人にものぼる中国残留孤児が日中国交正常化後から30年にわたる帰国が一段落をつけた今、日本政府が実施した帰国定着政策は、次の三点で検討する余地があります。1.政府は国交正常化からすぐ帰国対応をしなかったこと。2.1980年代からの帰国が長引いたこと。3.残留孤児への精神的なケアが足りなかったこと。このようなことができた原因として、日本政府が侵略戦争認識の曖昧さが挙げられています。3回目の講座では、中国残留孤児帰国定着に対する日本政府の施策について検討していきたい。

参加申込

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